Feb.7.2013 ポトシ銀山 Potosi mines



ポトシ銀山は、スペイン植民地時代の16世紀には世界一の産出量を誇り、ポトシ銀は国際通貨として世界を駆け巡りました。町は当時新大陸最大の都市に成長し、その繁栄は華麗な教会や修道院など、見事な街並みを形成しました。しかし、一方で、銀の産出には、多くの先住民インディヘナが酷使され、何百万人が犠牲になったとも言われます。その様子は、修道士ラス・カサスの「インディアスの破壊」の告発などにも見て取れます。
このように、正と負の両面の歴史を抱えるポトシの町ですが、日本とも関わりがあります。2007年に世界遺産に登録された石見銀山、戦国後期から江戸前期に栄えたこの銀山は、ポトシと双璧をなし、当時の世界の銀の産出・流通を支えていました。地球の裏側にありながら、いわば兄弟のように銀を産出し続けたこの鉱山を、比較してみるのもまた面白いです。




石見銀山と異なるのは、ここポトシは今も生きている鉱山であるということ。植民地時代と変わらず、インディヘナの労働者が、日々労働に従事しているということです。


鉱山の中には、ツアーで入ることができます。このツアー、現役の鉱山の、労働者が掘り進めている中を訪れることになるので、観光というより工場見学に近いものです。



坑道を歩いていけば、鉱石を山積みにしたトロッコとすれちがいます。このトロッコ1台で1トンの鉱石を運びます。もっとも、これ1台で10ボリビアーノ≒280円程度。労働者1人あたり1日10台程度運ぶそうです。



このツアー、現役の坑道を、元鉱夫の案内で進んでいくので、体一つ入るのがやっとな竪穴を下り、柵もない十数メートルの穴の横をすり抜けたりします。気を抜けば転落事故のおそれも十分あります。


坑道は当然アリの巣ように複雑に分岐しており、ガイドを見失えばたちまち迷子になってしまいます。


当然、観光用ではない坑道の中は、照明などは無く、ヘッドライト一つが頼りです。先の写真はフラッシュ撮影をしていますが、実際は上の写真のよう。これでも露光を多めにしているので、実際はもっと暗い印象です。



このような中、鉱夫たちはトロッコに鉱石を積み、外に運び出します。


更に下の階層へ。真っ暗な中、簡素な木製の梯子を下ります。


下の階層からは、籠に鉱石を積み、ウインチで吊り上げます。


鉱山労働者は今も過酷な労働条件で働きます。1日6時間、昼はコカの葉のみで働きます。賃金は役割によって異なりますが、固定給のある労働者で、最大1日150ボリビアーノ≒2000円です。


この労働者は、トロリーウインチを操作する二級の労働者。24歳。5年目で、1日100≒1400円ボリビアーノだそうです。


この労働者は15歳。1年目で兄のアシスタントだそう。彼の給料は1日90ボリビアーノ≒1260円。

こうしてみると、労働者は大変薄給に思えますが、ボリビア自体のGDPが一人あたり4330米ドル(2008年)と、8分の1以下なので、この国の鉱山労働者としてはその程度なのかも知れません。



鉱脈にダイナマイトを仕掛ける労働者。導火線に点火後5分で爆発し、10立方メートル、15トンの鉱石を採取します。爆発後、2時間は有毒ガスが立ち込めるそう。5分の間に100m逃げるそうですが、この爆発に巻き込まれたり、竪穴に転落したりして、年間平均15人の労働者が亡くなるそうです。


このような過酷な労働環境なので、労働者はアルコールを摂取して元気付けるようです。しかしそのアルコールというのが、このサトウキビ原料の96%のアルコール。これをジュースで割って飲むようですが、決して健康によいとはいえません。またアルコールによる酩酊が転落事故の主要因になているようです。また、コカの葉や、粗悪なタバコも多量に摂取する鉱山労働者の寿命は、やはり長くないそうです。


労働者が宴会をしたあと。



約2時間の坑道ツアーを終え、地上に出て来ました。忘れてはならないのは、ここは高度4000mを超す土地。ただでさえ過酷な鉱山労働に、ここでは酸素の薄い高地での労働という更なる負荷が加わります。ただ見学で2時間ほど坑道を歩きまわっただけなのに、ものすごい疲労感です。

このポトシ鉱山ツアーは、ポトシの町の各旅行社で募集をしていて、60から80ボリビアーノで参加出来ます。会社によって行く坑道が違うので、どのツアーが一番いいのかはわかりません。私の参加したSILVER TOUR社のツアーでは、私ともう一人日本人の2人に、一人の英語ガイドがついて案内してくれたので、解説を十分聞くことが出来たのは良かったです。残念ながら、ダイナマイトが爆発するところは見ることが出来ませんでしたが。
いずれにせよ、現役の坑道を、労働者と同じように歩きまわるので、かなりの体力を要します。足尾銅山観光のような整備されたものではありますん。ただそれだけに、生の鉱山の様子を見ることが出来るので、参加する価値は十分あると思います。

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